ギターメンテナンス

ギター・ベース
メンテナンス

レッスン受講者向けのサービスです。


「古いギターが家にあるので修理してから習いたい」

「買ったギターのネックの調子が悪くなってきた」

というケースがありますので、簡単な修理サービスを行っています。


プロのリペアマンではありませんので、仕事内容はプロより劣る部分があり、修理内容も限られていますが、一般より安くなっています。

修理内容は以下のとおりです。

弦交換、ボディや指板の清掃、ネック、サドル、ナットなどの調整、エレキ楽器の配線関係などのメニューがあります。

(ネック折れなど、木を直接さわる修理はできません)

弦交換


弦交換は、古い弦を外して新しい弦を張ります。

(350〜600円ぐらいの弦代が別にかかります)


弦交換は、頻度の高いメンテナンスです。

交換頻度は人によって違いますが、自分でできたほうがいいメンテナンスです。

ただ、ギターを初めた頃は頻繁に弦交換しませんし、「一回やっても忘れてしまうし、自信もない…」という方は、ぜひご依頼ください。


ご依頼いただくと費用がかかりますが、レッスン内容に組み込むこともできますので、その場合は弦代以外かかりません。

また、弦を外したときにしか掃除しにくい弦下の拭き掃除(指板、ブリッジ周り、ペグの周辺)もサービスに入っています。

指板磨き


指板は、生木タイプと塗装タイプがあります。

ローズウッド指板、エボニー指板は生木がむき出しで、メイプル指板は表面に塗装がされています。

● ローズウッド指板

● メイプル指板

生木は、レモンオイルで磨きます。


レモンオイルを少量付けた布で磨くと、手垢等の汚れが取れます。

また、指板が乾燥すると割れることがあるので、保湿の役割にもなります。


メイプル指板はボディと同じように塗装されているので、ポリッシュ等で磨きます。


ポリッシュを持っている人はいるかもしれませんが、レモンオイルを持っている人は少ないでしょう。

写真のサイズのものを買うと、ギターを1本しか持っていない人だったら一生分あります。

小さいサイズのオイルもありますが、頻繁にするメンテナンスでもないので、使い切るのには相当な時間がかかるでしょう。

フレット磨き


指板が研磨剤で汚れないようにマスキングテープで保護します。

(写真では2フレット分ですが、すべてのフレットに貼ります)


そして、研磨剤を付けた布でフレットを磨きます。

無視できるレベルですが、研磨剤を使うため、フレットの表面を削ることになります。

(演奏頻度が高くなると、フレットは削れて消耗します)


フレットを磨くと、見た目が良くなります。

フレットが錆びていると光沢がなくなるので、見た目が悪くなります。

少しの錆びなら問題はありませんが、酷くなるとチョーキングで弦が引っかかるので少し弾きにくくなります。

フレット バリ取り

フレットが指板から飛び出した状態のギターがあります。

(指板の横幅よりフレットが少しだけ長い状態)


パッと見ただけではわからないレベルの飛び出しですが、手が切れることもあります。

安いギターはフレット端の処理が甘く、最初から飛び出していたり角が立っていたりします。

また、木は乾燥すると縮むので、指板が痩せてフレットが飛び出します。

ネックの側面を傷つけないように、マスキングテープを貼ります。

1枚では不安なので、2枚ぐらい貼ります。


ネックを傷つけないように、金属製のヤスリで慎重に削っていきます。


次は紙やすり(240番)で削ります。

指板面を傷つけないようにマスキングします。


短くするだけでなく、フレットの端が丸くなるように削ります。


特に端の角は、痛くないように削ります。


最後は、さらに細かい紙やすりで仕上げます。

ボディ磨き


ボディ磨きは、ボディ磨き用のポリッシュを使って磨きます。

ボディは頻繁に手や腕が触れますので、古いギターはかなり表面が汚れています。


その手垢や汚れを落とすのがポリッシュの役割です。

ボディの表面からピックガード、ネック裏、ヘッドまで掃除します。

(ネック裏やヘッドは塗装がない場合もあるので、そのときはポリッシュは使いません)


ラッカー塗装も対応していますが、ラッカー塗装は高いので、そのクラスのギターはリペアショップに持っていくことをおすすめします。

また、アコギのマッドフィニッシュボディには使えませんので、そのギターをお持ちの方はボディ磨きサービスはできません。

金属パーツ磨き


ギターにはペグ、エレキギターならブリッジ周辺やジャック周辺などに、多くの金属パーツがあります。


金属パーツは長時間放置すると金属光沢がなくなり、次第に表面が灰色に変色し、茶色に錆びていきます。

毎日弾いているギターなら大丈夫ですが、しばらく保管しているギターは錆びかけている場合が多いですね。


これを磨くのが金属パーツ磨きです。

錆びやくすみは、研磨剤で磨いて除去します。

ペグもブリッジも細かい部品が多いので、全てバラバラに分解して磨いていきます。


写真にはプラスチックの部品も混ざっていますが、エレキギターは、これぐらいの金属パーツがあります。

特にブリッジの周辺は複雑で汚れが溜まりやすいので、サビも発生しやすいですね。


アコギの金属パーツはペグのみのため、少し安い料金となっています。


弦交換、指板、フレット、ボディ、金属パーツ磨き
フルコースの結果


● ビフォー

● アフター

指板、フレット、ボディ、金属パーツ磨きを全てやれば、汚れはほとんど落ちます。

写真ではわかりにくいですが、けっこうキレイになりますよ!


トラスロッド調整


トラスロッドでネックの反りを調整します。

ネックの反りの確認方法は、1フレットとネックとの接合部付近のフレットを押さえて、その中間地点の弦とフレットの幅が0.5ミリぐらいになるように調節します。


トラスロッドを回せば、すぐ反応する場合もありますが、少し時間が経ってから変わる場合もあるので、最低でも一晩は寝かせます。

(調整して翌日に再チェック)


ネックを外す必要がある場合の料金

エレキギターやベースでネックがボルトオンジョイントの場合、まれにネックの根本にトラスロッドがあります。

そうなると、トラスロッドを回すには、「チューニングを緩める→ネックを外す→トラスロッドを回す→ネックを固定する→チューニング」という作業手順になり、それを何回か繰り返す必要があるので料金は少し高くなります。

(最近のギターやベースは、ネックを外すことなくトラスロッドを回せる仕様ですので、レアケースです)


トラスロッドとは?

ギターやベースのネックは、メイプル、マホガニー、ローズウッドなどの木でできています。

弦のゲージにもよりますが、ネックにはエレキで40キロ、アコギで60キロ、ベースなら70キロほどの張力がかかります。

その張力がかかり続けると木は曲がりますので、それを支えるためにトラスロッドが入っています。


トラスロッドは、このような構造の長い鉄の棒です。


片方はネジで、六角レンチで回せるフタがついています。

反対側は、T字のパーツで木に固定されています。

(T字のパーツとトラスロッド本体も固定されています)


それがネックの中に、このように入っています。

たわんだ状態で入っているのがキモですね。


真っ直ぐな鉄の棒を埋め込んで、上下は密着するように木を整形してフタをします。

これで、棒が真っ直ぐに戻る力が常に働くため、逆反り方向にネックが曲がります。

逆反りはネックの裏側に向けて反る状態で、このようなイメージです。


この状態で弦を張ると順反り方向に力がかかるので、相殺されて真っ直ぐになります。

(厳密には、少し順反りにするのがベストなセッティングです)


トラスロッドと反り直しの仕組み

トラスロッドのフタは、ネックの内部に入らないように木に引っかかる構造になっています。


その状態で六角レンチでフタを回します。


フタを締めるとトラスロッドの両端の距離が短くなり、緩めると長くなります。


たわんだ状態で入っているトラスロッドのネジを締めると両端が近づき、逆反りの力が加わります。

木の長さはそのままで曲がっているトラスロッドの両端を短くすると、トラスロッドが真っ直ぐの方向に曲がるので、ネックは逆反りする仕組みです。


順反りさせる場合は、その逆です。

ギターのネックの木は順反りするように作られているので、ネジを緩めると木のパワーで順反り方向に曲がります。

こうして、ネックの反りを調整します。


弦高調整

弦高とはフレットと弦の間の距離のことで、12フレットで確認します。

12フレットの頂点と弦の下側の距離を測ります。


弦高が低いほうが押弦に必要なパワーが少なく、弾きやすくなります。

高くなると弦の張力が強くなるので、音にハリが出てきます。


高い方にもメリットはあるのですが、低くセッティングして弾きやすくするのが一般的です。

特に初心者のうちは、できるだけ低くセッティングするほうが演奏しやすいです。


6弦で、エレキギターは2.0ミリ以下、アコギは2.5ミリ以下、ベースは2.2ミリ以下ぐらいを目指して調整します。

低くしすぎると、弾いたときに押さえたフレットの次のフレットにも弦が当たり、音がビビることがあるので、そうならないギリギリを目指します。


ただし、ネックがハイポジ起き(ボディとの接合部付近で曲がってしまう現象)やフレットが削れている場合は、ギリギリまで下げられないこともあります。


エレキギターやベースの場合は、ネジを回して弦高を調整します。

ストラト系のブリッジは、このイモネジを回します。


レスポール系のブリッジは、このネジです。


エレキギター、ベースはすぐに終わりますが、アコギは少し大変ですので、調整の値段も高くなっています。


アコギのサドルはこのような形になっていて、サドルの底をヤスリで削っていきます。


サンドペーパーでゴシゴシですね!


状態によっては3ミリぐらい削る場合もあり、そこそこ時間がかかります。

(12フレット上で1ミリ弦高を下げるには、ブリッジを2ミリ下げる必要があります)


また、アコギの場合は弦の張力に負けてボディが膨らむことがよくあるのですが、膨らみすぎるとサドルを削っても下げられない部分が出てきます。

(削りすぎるとサドルで弦を支えられなくなり、音がビビったりブリッジの中に埋まります)

エレキギターのフローティング

エレキギターのみで、アコギやベースは関係ありません。

また、エレキギターの中でも、トレモロユニットが付いているギターのみとなります。


ストラトキャスターなどトレモロユニットが付いているギターには、トレモロアーム(レバー)が付けられます。

このアームを前後に揺らすと、ビブラートがかけられたりベンドができます。


横から見ると、このような仕組みになっています。

弦の張力と釣り合うように、裏側のバネで引っ張っています。


スプリングを引っ掛けているスプリングハンガーのネジで、張力を調整します。


基本的には、少しフローティングした状態にします。

3ミリぐらいフローティングさせ、3弦開放弦が1音半アームアップできるようにします。


フローティングさせるとアーミングができるのはもちろん、弾き心地も大きく変わってきます。

特にチョーキングは、やりやすくなりますね。


フローティングを調整すると弦高も変わるため、フローティングと弦高調整はセットになります。

フローティングを調整してから、弦高調整をします。

ピックアップの高さ調整

エレキギターやベースのピックアップは、高さ調整ができます。

高さによって音色やニュアンスが変わるのはもちろん、音量も変わります。

弦とピックアップが近ければ音量は大きく、離すと小さくなります。


そのバランスが悪ければピックアップを変更したら音量が変わってしまうので、フロントピックアップは弦と遠く、リアピックアップは少し近くします。

また、1弦は近く、6弦は遠くセッティングします。


ピックアップの種類で変わるのですが、ポールピース(ピックアップに付いている丸い磁石)と弦との距離を測ります。


弦高を調整すればピックアップの高さ調整も必要ですが、劇的に変わるわけではないので、調整しなくても問題ありません。

ナット調整

ナットは、ヘッド側で弦を支えているパーツです。

(弦を巻く溝があります)


ナットは溝の調整と、高さの調整があります。


溝の調整は、弦の太さを変えたときに必要で、太い弦にすると溝を大きくする必要があります。


適切な溝の幅でなければ、弦が高くなって弾きにくくなったり、ナットで弦が引っかかってチューニングが合いにくくなりますので、溝をヤスリで削って太くします。


今までより細い弦を使うときは、厳密にはナット交換が必要ですが、異常に弦高が低くなっていなければ、そのままでも問題ありません。


ナットは高さ調整もします。

ナットが高いとローフレットでの弦高が高くなってしまうので、コードが押さえにくくなります。

その場合は、ナットの底を削って調整します。


ナットが低すぎる場合はナット交換です。

(ナット交換はまず発生しませんので、サービスには含めていません)

電装パーツ交換


エレキギター、ベースには電装パーツがあり、「音が鳴らない」、「ボリュームを回すとガリガリ鳴る」という不良が起こります。

(アコギは関係ありません)


これらは、内部の配線が断線していたり、接点プレートが曲がっていたり、いろいろな原因が考えられますので、お預かり時に、修理の程度が判断できないことがあります。


たとえば、音が鳴らない不良であれば、断線の可能性がある箇所は多くあり、蓋を開けて検証しなければ判断できません。

ただ、最悪でもパーツ交換で修理はできますので、「工賃3,000円+パーツ代2,000円未満」ぐらいで済みます。

(ピックアップ内部で断線していたり、ピックアップ本体が壊れているときは、もう少し料金がかかる可能性があります)


エレキギターやベースの電装パーツは、ピックアップ、ポット、セレクター、ジャック、スイッチなどで構成されます。

それぞれ内部のパーツが折れたり割れたりすると音が鳴らないので、その場合はパーツ交換になり、新しいパーツを仕入れて、内部ケーブルとハンダで付けます。


セレクターやスイッチは、内部が見えるタイプと見えないタイプがあります。

見えるタイプは修理できる場合もありますが、見えないタイプは中を開けることができないので、パーツ交換になる可能性が高いです。


パーツ交換は少し料金が高いですが、確実に修理できます。

断線修理、接点復活


どちらも、「音が鳴らない」、「ボリュームを回すとガリガリ鳴る」などの、パーツ交換する必要がない修理です。


断線修理

ギター内部の配線は、コードとパーツがハンダでつながっています。

ハンダが外れることは少ないですが、年数が経つと外れることがあります。

その場合は、古いハンダは除去し、新しいハンダで付け直します。


接点復活

断線修理より簡単な修理は接点復活です。

ポットやスイッチの内部、ジャックなどでは、金属同士が触れ合って通電する仕組みが使われています。

ハンダで付いているのではなく、単純に触れているだけですね。


ここが古くなってきたり、スイッチを操作しない状態で長期間放置すると、表面が劣化して電気が通りにくくなります。

そのときに使うのが、接点復活スプレーです。

スプレーを接点に吹いてポットを何度も動かしたり、スイッチを何度も動かすと接点が復活します。


ジャックは外側からスプレーできますが、ポットやスイッチはキャビティの蓋を開ける必要があり、少し手間がかかります。

また、キャビティ内は普段は蓋が閉まっているので、あまり汚れることはありませんが、開けついでに中を掃除します。


古いアコギは使えるの?

ギター教室に入会される方で、古いアコギを持って来られることが多いです。

「お父さんが使っていたギターが押入れにあって・・・」のようなパターンです。


「そのギターが使えるの?」という答えは、使える場合が非常に多いです。

今までも何名かそういう方がおられ、全てメンテナンスすれば使える状態になりました。


ただし、以下の致命的な不良は修理できません。

木が割れてしまう

ヘッドとネックのつなぎ目あたりが割れていたり、ボディにひび割れがあったりすると、さすがに使えません。

ボディが異常に膨らむ

ボディの膨らみとは、弦の張力に負けてブリッジが盛り上がることです。

多少の膨らみはどんなギターでも発生しますし、サドルの高さを調節すれば使えるのですが、サドルの調節幅を超えるほど盛り上がってしまうと使えません。

フレットの不良

フレットの不良は、フレットの浮き、すり減りです。

すり減った場合はフレット交換が必要で、浮いていれば叩いて直ることもありますが、フレットを引き抜いてから曲げて刺し直す作業が必要になります。

フレット関係の修理は専用工具が必要で、作業も大変です。

修理を外部に依頼すると、何万円とかかります。


それ以外の不良であれば修理可能です。

弦は交換できますし、ボディや指板の汚れはクリーニングすれば問題ありません。

フレットやペグの汚れは、金属磨きでピカピカになります。

ネックの反りは、トラスロッドを回せば直ります。

ペグやナット、サドルなどが壊れることもありますが、その場合は交換するだけです。


お持ちのギターが使えるかどうかは、体験レッスンや初回レッスン時にご持参いただけたら診断いたします。

家に眠っているギターを復活させましょう!


古いエレキギター、ベースの不良

エレキギターとベースの致命的な不良は、アコギと同じくネック折れとフレット不良で、こちらでは修理できません。

(ボディが膨らむことはありません)


エレキやベースの不良でよくあるのは、ジャックの接触不良、スイッチの接触不良、ポットのガリ、断線などの電気系統の不良です。


接触不良は、ジャックやスイッチの位置で音が鳴ったり鳴らなかったりすることです。

接点復活剤で磨いたり、接触する金属プレートの曲がり具合を修正すると直りますが、改善されなければパーツ交換になります。


ポットのガリは、ボリュームやトーンを操作したときにガリガリ音が鳴ることで、接点復活剤で直すかパーツ交換です。


断線は、ハンダ付けで直ります。


それぞれ、大変な修理ではありません。

あとは、アコギに比べて金属パーツが多いので、くすんだり錆びたりすることが多いでが、磨けば戻ります。


弦高調整やオクターブチューニング、ピックアップの高さ調節などもありますが、これらは修理ではなく一般メンテナンスという位置付けです。